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<第七十九弾>
Venus Apollo(クリックでVenus Vaporizersに飛びます)
知人のヴェポライザーコミュニティは、もうずっとアナログヴェポライザーの話題でもちきりなのですが、
生来のめんどくさがりと「自分なりカスタマイズ」というのが苦手なので、DynaVapを1本買ってそれ以後あまり深くは踏み込まないようにしていました。買っても面倒臭くなってStarryやPAX3に戻るという気がしていたからです。
そうやってアナログ機の物欲を戒めてはいたのですが、「ほれうまおじよ、こんなのもあるで、こいつはどうじゃ?」と囁く悪い人がいて、ついに強烈に物欲センサーに反応してしまったのがこのVenus Apolloでした。
Venus Vaporizerについて詳しい人は多くないはずです。4年前に発売されてから、ひっそりと北欧の片隅(フィンランド)で販売され続け、あまり商売っ気もなく、淡々と黙々と「欲しい人が買うのを待っている」という奇特なヴェポライザーに思えます。
なお、ブログ開設から1周年となるのですが、そこであえてApolloをピックアップしました、たぶん自分が非常に気に入ってるからだと思います。
[結論先取り、このレビューに書かれていること]
・電子制御機に慣れている人にはとてもオススメできません
・操作系が独特すぎて覚えきれません
・デフォルトでの使用には非常に難があります
・工夫でかなり化けますが、工夫に幅がありすぎてどこをどう触ったものか
・お高い(3万オーバー)
・工夫を終えた自分の感想としては、メイン機として非常に気に入っています
[外観]
みていきましょうか、この奇抜な、前例のない機種を。
説明書は紙1枚のペラ、本体が緩衝材に包まれて、箱などもなく「ほれ、ポーン」という感じで届きます。
でかい。自分にとっての「ヴェポライザー標準サイズ」というのは、Starry、Davinci IQで、Davinci Miqroだと「コンパクトでいいじゃん」、Herbva 5Gは「小さくて可愛いね」です。
Venus ApolloはVenusというより坂本乙女のような大きさと強烈さを感じます(参考:坂本乙女 龍馬の姉、174cm、112kg)
坂本乙女、強い。
まずこの機種の特徴を書くとしたら、ショットガンのようなシャグのローディング方式でしょうか?
本体中程の空隙にチャンバーがあり、中にシャグを入れてから収納します。
これを
こうして、
中はこうなってる。チャンバーにシャグを入れて抑えて加熱して吸う。
底面ですね。このヴェポライザーはハロゲンによる熱でシャグを加熱するのですが、ここから基板とハロゲンランプにアクセスできます。
本体トップ部、左がマウスピース、右がバッテリー室
真上からみると、こう。左がマウスピース、右がバッテリー室。
バッテリーは純正が18650、ニップルトップ2本ですね。
フラットトップを使用するとバッテリーがカタカタして使えません(ネオジム磁石で丈増しして対応もできますが)
マウスピースは「十分押し込んで」がデフォ使用ですが、抜くとこんな感じになってます。
シャグ抑え兼クーリングユニットといったところでしょうか。
口にくわえる側はドロー調整ができ
シャグ抑え側はフィルターがついています。
「このヴェポライザーはハロゲン加熱方式」と伝えましたが、実際に電源を入れ加熱をすると
ロマンティックな感じになります。
アクセサリーは
交換用のハロゲンランプ1つです。
[性能]
皆さんが考えてるような「5クリックで起動、自動ヒートアップ、設定温度に達してウマー」みたいな機種ではありません。
マニュアルはここに置いてあるので、そちらも参考にして欲しいのですが、マニュアルがないと起動すらできず、だいぶ長い時間こねくり回して悩み続けました。
公開されているpdfマニュアルから画像を抜くと
ボタンの位置関係はこうです。Button1, Button2, Boost buttonの3つのボタンがあるのですが・・・
この機種、タッチパネルでの起動になります。4年前の機種で外装は木製なのにタッチパネル!驚愕!!
で、どうやっても「スリープモードの解除、それからのヒートアップ」を文字で説明する自信がなかったので動画撮りました。
一応文字起こしすると
・ブーストボタン1秒押しでスリープ解除(バイブ)
・スリープ解除後にButton 1からBoost Buttonへのスワイプでヒートアップ
・ヒートアップ時にBoost Button 5回連続押しでスリープ
となります。基本操作はこれだけなのですが・・・
・ヒートアップタイム:だいたい45秒でバイブしヒートアップ完了
(ただし、それで適切な"吸える"状態になっているかは別問題です)
ヒートアップ時間は可変で、自由に変更ができます。
このようなプロセスを経てヒートアップタイムが変更可能ですが、めんどくさくてやってません。
・ヒートアップ自体は本体初期設定の、規定の熱量で加熱が始まります
・ヒートアップが完了後、「加熱持続モード(適当に名付けた)」に移行し、
任意の加熱パワーで加熱が持続できます
加熱は3つのボタンを上向きにスワイプするとup、下向きにスワイプするとdown
パワーは10段階で調整され、その強さはバイブの回数で教えてくれます
・Boostボタンを長押しすると「急速加熱」が行えますが、自分は使っていません
Boost時の加熱の強さも調整が可能です
[喫味]
ケミ臭、プラ臭は皆無です。それはどうでもいいのです。
メーカーは「Level 4 is recommended for most user」(ほとんどのユーザーにとっては、レベル4で加熱するのをオススメする)
と書いてますので、デフォルトであるLevel 4で起動しますよね。
Level 4ではチェ緑、桃山(パイプ)、キャプテンブラックゴールド(パイプ)、丸焦げになりました。なんならチェ緑に至っては燃えました。キャンプファイヤーの種火状態になりました(あっ、そういう使い方もいいですね)
Level 3でも焦げます。Level 2だと物足りなく、Level 1だとフレーバー出ません。
おいおい、使い物にならんぞ。どうしたらいいんだよと途方にくれました。
----- ブレークタイム(スルー可) -----
「という状態なんですけど、どう思います?」とアナログマニアに聞いたところ、なぜそこまで出力が高いのかという話になったんですが・・・
4年前というと、ヴェポライザーとしてはGpenとかコイル式でシャグを半分燃焼させて吸うのが主流の時代で、「焦がさずに加熱して吸う」という概念は乏しかったように思います。
おそらくVenus Apolloはその時代の産物で「幾分焦げる」ことを前提とした構造なのかな?という気がします。
ただ、自分はFuck Combustionですから焦げを避けたい、ここから苦難が始まりました。デフォルトのLevel 4で焦げるのですから、このままでは実質使えるのはLevel 1〜 Level 3という非常に大雑把な加熱レンジで調整するしかないわけです。
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ということで、この「強すぎて焦げるハロゲンランプ」とどう戦ったらいいのか試行錯誤が始まりました。
<対策1>
まず思いついたのはチャンバーに緩衝を置いて、直接熱じゃなく間接熱にするということでした。材質は金属・ガラス・チタン・水晶なんでもいいのですが・・・
内径17.5mm、そんな都合のいい金属がそこらへんに転がってるわけもなく、
円コイン、USD、台湾ドル、いろいろ探してみましたがピッタリのものは見つから
あった
XMAX Starry(XVAPE FOG)のマイナス接点プレート17mmやるじゃん俺
<チェシャグ緑で吸う Level 3〜5>
急速加熱した後、一気にキックとメンソフレーバーが出るのですが、ピーク時間が短い。あと焦げとギリギリの戦い、まだハロゲンの熱が強い。
<対策2>
Starryのマイナス接点プレート、悪くはなかったのですがプレートの薄さのためか熱の通りがまだかなり強く、できたら熱電導性が低い材質でコンベクションに近づけたい。
そんなパーツはどこを探してもみつから
あった
手芸屋で見つけたカボッションガラス。16.5mm、十分な厚みと、耐久性があり、10個入り150円やっす。
"カボッション"というフレーズにときめきを感じていましたが、カボッションというのは「坊さんのハゲ頭」という意味らしいです。
<コルツクリアメンソール Level 6 ガラス使用>
メンソールの爽やかなフレーバーが主体で、ほんのわずかに旨みや香ばしさが混じります。DLで吸うと喉越しのようなものを感じますが、MTLだと色々と弱い。あとフレーバー出てくるまでにかなり時間(〜2分)かかります。
調湿してある方がミストも多く美味いかも。
なんか喫味がパサパサという感じです。
<Mac Baren 7seas Gold Blend Level 6 ガラス使用>
実はこの機種はパイプ葉専用で使っています。調湿してあるパイプ葉を吸うと非常に濃密なミストとフレーバーが出ます。
加熱に従いきめ細かいミストと旨み、酸味、甘味、キックの入り混じったフレーバーがよく出ます。
Vivant Alternate、Davinci IQ、Zeus Arc GT系の上質なフレーバーを楽しめます。
キックに弱さを感じたらLevelを7ぐらいまで上げるとフレーバーもキックも楽しむことができます。
<Mac Baren 桃山 Level 6 ガラス使用>
Mac Baren 7seasと同様のフレーバー傾向ですね、これも美味いです、文句ないです。
[メンテナンス、使い勝手]
実質汚れるのはニコ汁の付着するマウスピース、そしてチャンバーだけなのでいずれも丸洗いできます。
ガラスステムの破損報告がredditで確認できましたので、ガラスステムは割らないように要注意です。
[ここなら安いよ]
本家以外の扱いを知りません、shipping freeで258 euroでした。(あと関税かかります)
[さいごに]
オススメか?と言われると到底おすすめできません。デフォルト状態で使用に難がある機種は、その機種に問題があると言わざるを得ません。
今使ってるカボッションガラスがVenus Apolloにとってベストかというと他にアプローチの方法がありそうですし、ガラスマウスピースもかなり太口なのでシリコンブロックで510ドリチ接続してMTL仕様にしたいとか、
とにかくデフォルトだと不満が多すぎるので頭をひねってまともに使えるように工夫せねばならないのです。
手巻きの普通のシャグだと十分に加湿しないとなかなかフレーバー出ないですし、自分は基本的にパイプ葉での使用に限定しているので利用シャグ幅も狭い。
が、機種としてはポテンシャル高そうに思えますし、設定がうまくいった時のパイプ葉は、過去名機と言われた機種と遜色ない、あるいはそれ以上の喫味を出すように感じます。
電子制御に慣れた、愛機がZeus Arc GTとかDavinci IQとかをメイン機で使っている人だと、Venus Apolloは即座に「メンドくさい、ダメ機」の烙印を押されそうです。が、ハロゲン加熱のヴェポライザーは、セラミックコンダクションや今まで出会ったコンベクションとは異なる、濃密でよくフレーバーのでる喫味を提供してくれます。
名機というより迷機に分類したくなります、が
自分は今、Starry、Fenix+、そしてVenus Apolloがメイン機になっています。
記 2019/5/19 ブログ設立1周年