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しばしば、「所持しているヴェポライザーがこんな感じでよろしくないのですが、どのようにしたらいいでしょうか?」というご質問いただきます。
自分は機械屋でも修理屋でもヴェポ屋でもない、ヴェポ好きの36歳のおっさんなので適切な返答ができているか疑わしいところですが、
ヴェポライザーがおかしい時に自分が考える思考パターンみたいなのを記してみようと思います、参考になればと思います。
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<1.ヴェポライザーがおかしい、"ドロー関係">
ありがちな「不適切なドロー抵抗」について考えてみます。
"ドロー抵抗"というのはマウスピースで吸引した時の、吸う時の重さ・軽さのことです。
a.ドローが重い
ほとんどのケースはフィルター詰まりです。ヴェポライザーは構造上、
・チャンバー(とチャンバー穴)、チャンバー蓋
・エアフロー(本体外装あるいはチャンバー周囲エアフロー)
・マウスピースまわり
のいずれかから外気を吸入してマウスピースで吸っています。
どこがメインのエアフローになっているのかは、疑わしいところを指で塞ぐとドローが重くなることで確認ができます。
ex)PAX3はチャンバー底部を手のひらで塞ぐと、Davinci IQはシャグ入れるチャンバー自体を指で塞ぐとドローが重くなります
例:XMAX Starryを使い続けているとドローが重くなる
→ チャンバーを抑えつけているマウスピース側のフィルター
ここの複数の小さい穴がシャグで詰まることでドローが重くなります。対策は「フィルターの掃除」です。
例:Flowermate Slickを使い続けているとドローが重くなる
少し厄介なケースです。エアフローを基板を介した様々なところから流入させているので、「ここがおかしい」とピンポイントで示せません。
チャンバーから基板に至る狭いエアフローにシャグが詰まっていますので
こんな方法でドローを復活させたりしています。
例:Davinci IQを(略)
フレーバーチャンバーとシャグ入れるチャンバーの間、あるいはチャンバー底部の5つの穴がシャグで埋まっています(通称菊門)
フレーバーチャンバー側はモール付きブラシでこしこしして、チャンバー底部の5つの穴は伸ばしたクリップなどで削ぎ落とします。ある程度掃除が終わったらフレーバーチャンバー側にテイッシュを詰めて、チャンバー側からイソプロピルアルコールを流すと汚れが落ちます(自己責任)
b.ドローが軽い
重いより軽い方が対策が大変です。簡潔に言えば「エアフローが壊れてる」状況です。
例:落下後にドローが軽くなった
多分割れてます。チャンバーか本体かどこか。使わない方がいいでしょう。
例:最初から軽い
チャンバーを塞ぐ密閉、マウスピース、トップキャップあたりに不具合があるように思えます。そういう機種なのかもしれません。
Davinci IQのクローンの場合は工作精度が低く、チャンバー蓋やジルコニアボールの密閉が不十分でドローが軽くなっていました。フレーバーチャンバーの底部にOリングをかませることで多少ドローは改善しましたが、それ以上はどうにもなりませんでした。
SeshGear Vegaの場合は「そもそもトップキャップがそういう構造」ということで、あまり対策のしようがありませんでした。
例:だんだん軽くなっていった
<Starry、Fenixなど>
Oリング、シリコンパーツの劣化が考えられます。アクセサリーにOリングが含まれている場合は交換するのが望ましいです。ドローが軽くてOリングの交換で改善された場合はラッキーです。
Starryの場合はマウスピースと本体の付け根にあるOリングと、シャグを抑えているチャンバー側のシリコンパーツの劣化を疑います。
<2.ヴェポライザーがおかしい、"加熱関係">
過加熱(焦げる)あるいは"加熱されない"、です。
a.過加熱
意図せぬ設定になっている可能性があります。まずは設定を見直しましょう。
ファームウェア更新直後の場合は設定がデフォルトになってやや高めになってる可能性があります。
Davinci IQの場合は稀に設定がリセットされることがあるようです。Bluetoothで接続し直すと改善される、本体をもう一度リセットして設定し直すなどの対策があります。
Boundless Tera V1やV2は基板の不具合で過加熱される報告がありました、TwitterやFuckcombustionなどで類似情報を探ってみる価値があるでしょう。
「選択できる設定温度がそもそも高い」場合は、ファームウェアで改善されている場合があります(Zeus Arcなど)、本家のファームウェアをのぞいてみてください。
b.加熱されない
まず満充電してみましょう。次に設定を見直しましょう。これら終えて、ヒートアップ途中で加熱完了しない場合は初期不良の可能性があります。販売店に聞いてみましょう。
18650交換式バッテリーの場合、中華製の安バッテリー(特に6500mahとかの虚偽記載があるもの)を使うと、ヒートアップを終えられないことがしばしばあります、テスター使うと600mahとかしかなくてヴェポライザーの動作必要電圧を満たせずにLow Battが表示されることがあるので、安全面からも推奨できません。
<3.ヴェポライザーがおかしい、"接触関係">
電源が入ったり入らなかったり、「チカチカする」という状況です。
Starryを落下させて+極と-極の接触がおかしくなると頻繁にみられます。
このケースの逃げ道としては、+極と-極の接触が適切なバッテリーを選んでいく、極小のネオジム磁石(下図)
これをバッテリーの+極に挟んで微調整していく、などがありますが、バッテリー、電源系の不具合については重大なトラブルが起こる可能性があるのであまりお勧めできません。
基板、回路が不具合を起こしている場合は素直に修理、販売店に問い合わせをした方が無難に思えます。
<4.ヴェポライザーがおかしい、"喫味関係">
ドローと関わりなく喫味が「重い(やけに濃い、苦い)」場合は、掃除してみるべきでしょう。焦げたシャグが喫味を変質させている可能性があります。
以前に吸ったシャグが新しいシャグを濁らせているケースも多々あります。バニラ、チョコ系のシャグを吸ってからメンソール吸うとヴォエェってなります。
で、さて今回のご相談の件ですが(本題)
「slick を最初吸った時に凄く美味しくて当たりだなと思いましたが…1ヵ月ほど使った後から味が物凄く悪くなりました」
「シャグを取り出すと十分に加熱されてバラバラの状態なので加熱不足ではないと思います」
「思いあたる事は初めてチャンバー内の掃除を無水エタノールでした時にコーティングが落ちたような?感じで物凄く綿棒が汚れました」
「それとマウスピースを取り付けているヒートシンク?の一番下の部分のメッシュの金属部分がコーティングが剥がれてネチャネチャになっています」
「味は少~ししますが全く美味しくないです」
1.ドロー 2.加熱 に問題がないという前提で今回の件を考えてみようと思いますが、
持ってきたのは、使いっぱなしのきったない(自分の)Slickです。
<可能性 a.チャンバートラブル>
Flowermate SlickはFlowermate V5 Nanoと同様にチャンバーにGLAZEコーティングが施されています。これはセラミックチャンバーにアルミ、チタン、ケイ素などを混ぜたコーティングを施したものですが、研磨に弱いという弱点があります。
まず考えたのはこのGLAZEコーティングが剥がれた可能性です。GLAZEコーティングを剥がしたところで、その下にあるのは単なるセラミックチャンバーですから、別段問題ないと考えたものの、
GLAZEコーティングが部分的に剥がれた場合はチャンバーの熱伝導性に変化が生じて微妙な加熱ムラが生じることが予測されます。
対策としては、GLAZEコーティングを全て剥がしてしまえば、他のセラミックチャンバーと同様の喫味が戻ることが推測されます。手技的にはなかなかハードル高そうに感じますが・・・
<可能性 b.マウスピーストラブル>
「それとマウスピースを取り付けているヒートシンク?の一番下の部分のメッシュの金属部分がコーティングが剥がれてネチャネチャになっています」
とありますので、ネチャネチャがある状況で吸えば、喫味は変質するかなという気がします。何かがコーティングされていたとしても、その下にあるのはおそらくステンレスでしょうから、中途半端にコーティングが残っているよりは全て剥がしてしまった方が良さそうに思えます。
これが適切な対策と胸張って言えるものではないですが、自分ならばやることは
「マウスピースもチャンバーも、見た目均質になるように全部徹底的に掃除する」でしょうね。
で、それでも喫味が改善しない場合は、ニコ汁が内部基板まで侵食して錆びちゃってます、これはもう諦めるしかないでしょう。
ということで、ここ最近いただいたご質問を元に、ヴェポライザーのトラブルシューティングみたいなものを書いてみました。
くどいですが
「自分は機械屋でも修理屋でもヴェポ屋でもない、ヴェポ好きの36歳のおっさんなので適切な返答ができているか疑わしい」という点はご念頭に置いていただいた上で、参考になればと思います。
記 2019/10/26