ヴェポライザーレビュー うむ美味いおじさん

タバコを吸うためのヴェポライザーをレビューするサイトでした

加熱式タバコ喫煙による環境中のニコチン濃度上昇

少し気になるエントリーを見かけたので記事化しようと思います。

 

なおこの記事は加熱式タバコの安全性を啓蒙するものでも、現行のヴェポライザーの安全性を喧伝するものでもありません。

ヴェポライザーを含めた加熱式タバコの受動喫煙の弊害は実際のところどうなの?というデータを知りたくて記事化したものです。

 

ヴェポライザーを含め、喫煙はあなたの身体にとって、そしてあなたが吸っている際の周りの人にとって有害なものです。

 

このような記事を見かけました。

要約すると

1.WHOの下部機関である国際がん研究機構(IARC)がまとめた報告によると、紙巻きたばこを喫煙している際に、室内のニコチン濃度は0.3〜30μg/m3に上昇し、これは受動喫煙による健康被害のリスク因子になりうる。

 

2.国立がん研究センター委託の「たばこ情報収集・分析事業」による調査報告によると、「換気のない狭い室内で喫煙した場合」で室内のニコチン濃度を測定したところ、紙巻きタバコではニコチン濃度が1,000〜2,420μg/m3に上昇し、加熱式たばこではニコチン濃度が26〜257μg/m3で加熱式タバコの方がニコチン濃度の上昇は低かった。

 

国際的な研究機関であるIARCがまとめた報告に比べ、国立がん研究センターの報告がニコチン濃度80倍ってのはいくらなんでもおかしくね??というのが記事の趣旨です。

 

で、デイリー新潮が「どういうことなの?厚労省??」と確認したところ

> 厚労省の担当部署である健康局健康課に、
> 実験環境の詳細などについて問い合わせたところ、
> 「それどころではない」

と返答されたとあります。

 

で、その後の流れが気になったので追っかけてみました。
この記事が報じられた翌日に衆議院議員 大西健介さんが国会で質問をしています

簡略化して書きますと
「実験環境を教えてくれ」「どのぐらいの時間で何本吸ったのか教えてくれ」という質問をしました。

それに対する返答がこちらで

これも簡略化して書きますと、
・縦横80cm、高さ220cmの
・扉が閉められ換気口と排水溝が目張りされた実験室内において、
・30分間で50回の煙の吸引を行った。
と返答があります。

 

その実験の状況は、現在では厚労省のサイトからpdfデータで閲覧することができるのですが

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000201435.pdf

 

・目張りされた電話ボックス(のような実験箱)の中で30分かけてタバコ4本を連続30分間ぶっ続けで吸った

・換気がない環境の方がニコチン濃度は高くなると考えられるので密閉された電話ボックスの中に大人一人閉じ込めてタバコを吸わせた

・実験した部屋は煙で充満して、被験者が咳き込むほどの状態であった

 

→ そしたらIARCの報告に比べて80倍の濃度を出すことができた

 

という、面白いpdfを閲覧することができます。

率直な感想としては、税金使って被験者虐待して面白データ作ってんのかぁ、
というのと、

この答弁書が出るまでは実験環境を隠してたのかぁ、
というのと、

同じことを香水でやっても排気ガスでやっても屁でやっても体調悪くするぜ、
というあたりですかね。
(目張りされた電話ボックスの中におっさんの生尻が定期的に出現して屁をこく状況をイメージしてみてください)

 

このデータから類推できることは、
1.紙巻きタバコに比べて加熱式タバコは、環境中のニコチン濃度上昇は1/10〜1/50程度と推測される(国立がんセンターの報告で紙巻に比べ加熱式の方がニコチン濃度が低い)

2.常識的なIARCの観測基準に従えば、加熱式タバコのニコチン濃度も1/80程度、つまり0.3〜3μg/m3と推測できる(測定環境の差異により80倍もの数値に増加しているため)

 

なお、奇しくもこの推測はJT(大本営)が発表している加熱式タバコのニコチン発生量(喫煙前と比べて+2.5〜6μg/m3程度上昇する)のデータとよく合致します

https://www.jti.co.jp/investors/library/press_releases/2018/pdf/20181002_01_appendix_01.pdf

 

3.あれ?やっぱり加熱式タバコって呼気中にニコチンを出さないんじゃね?
→ それはウソで、そもそも喫煙者のいない環境中にはニコチンはほぼ存在せず(0.1μg/m3)、加熱式タバコを吸引することで環境中のニコチン濃度が上昇する(前述JT文献、+2.5〜6.0μg/m3)ことが示されています。

 

まぁ喫煙可能エリアで紙巻タバコ吸うとニコチン濃度が+80μg/m3とか上昇してるんで、加熱式タバコは段違いにニコチン発生量が少ないというのは事実だと思いますが・・・

 

で、JT側も厚労省に対するあてつけみたいに

「扉付きの個室であり、かつ一般的な施設に備わる排気設備があれば非喫煙エリアの室内環境に影響を及ぼさないと考えます」と結んでいます。

・扉を閉め、目張りされた電話ボックス(のような実験箱)の中で
・30分間で紙巻きタバコ4本吸って咳き込むほどモクモクにして
・IARCの測定結果の80倍ものニコチン濃度を出した

厚労省の試験に対する反論みたいに見えますね。

 

以上、少し面白かったデイリー新潮の記事から、国会答弁を追って、最終的にJTの大本営発表まで見てみましたが、

結論として言いたいのは、こうまでして喫煙者は責め立てられ、喫煙者にとって都合の悪いデータを意図的に作成されていじめられたりするので、

ご自身の健康と周囲への配慮を考えた場合、可能ならさっさと卒煙すべきでしょうね、ということでした。

 

記 2019/6/13