ヴェポライザーレビュー うむ美味いおじさん

タバコを吸うためのヴェポライザーをレビューするサイトでした

コンダクション・ヴェポライザー

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コンダクション方式・ヴェポライザーというものの、総論的なものを書いてみようと思います。

 

コンダクション方式のヴェポライザーを買い漁ってきました。

先ほど確認したところ、手持ちの全73機種中、60機種はコンダクション方式のヴェポライザーでした。

 

 

<コンダクション方式>

コンダクション方式のことを「熱伝導式」と訳されているケースが多いですが、
そもそもConduct:「案内する、導く、伝導する」という意味から直訳されてるのが"熱伝導式"という単語であり、
その意味の本質は(コンダクション方式に定義づけをするなら)

「加熱対象を釜(チャンバー)に入れて、釜を加熱することにより直接対象を加熱する方式」

といったところでしょう。

 

<コンダクションのバリエーション>

--- ステンレスチャンバー・ヴェポライザー ---

「シャグを燃やさずに、加熱して蒸気だけ吸いたい」という発想で、どうやって目的を達成するか考えたときに
おそらく鉄のボウル(小さなお椀)にシャグを入れて密閉し、筒をその中に差し込んで加熱して吸う。というのがヴェポライザーの始まりだったのでしょう。

チャンバーに熱伝導性の高いステンレスを用い、コイルでそのチャンバーを包んで電源を押すとコイルが発熱しチャンバーが加熱される。

最も原始的な「コンダクション方式」と呼ばれるヴェポライザーはこのようにして産まれたのだと思います。

G proあるいはZookaHerbstick Ecoといった機種はこの原始的なシステムで駆動しています。

 

ステンレスには弱点があります。繰り返しの加熱・冷却で劣化すること、ステンレスといえども錆びること、錆びた部分にはシャグがこびりつき清掃の面で手間がかかること、などです。

ステンレスはステンレスでまた変わった喫味を出すので面白いのですが、便利が良いとはいえません。

--- セラミックチャンバー・ヴェポライザー ---

ステンレスの弱点だった熱と冷却による劣化、シャグのこびりつきをどう対処しようかメーカーが悩んだ結果として採用されたのがセラミックでした。セラミックチャンバーのコンダクション方式は現行機種でもスタンダードと言える構造で、非常に多くの機種に採用されています。

セラミックチャンバーを独自開発できるメーカーは限られているようで、多くは中国製のセラミックチャンバーの規格にあわせる形でヴェポライザーが開発されています。

ミドルレンジ帯の中国製ヴェポライザーの多くが9.5mm径で、スペーサーなどに互換性があることなどから同一の規格であることが推測されます。

比較的有名なAiristechの製品、Flowermateの製品などの多くがこのセラミックチャンバーを採用しています(そして喫味も似たような傾向を出します)

セラミックチャンバー方式にも欠点があり、熱によるチャンバーの劣化はほとんど見られませんがシャグのこびりつきは回避できていません。また割れにも弱いという弱点があります。

古くはAiristechのNokivaFlowermate Auraなどで採用がみられましたが、2019年上半期に販売された最新作であるBoundless CFC LiteAirVape XS GOなどでもセラミックチャンバーが採用されていることを考えると"セラミック"というものの質の高さと安定性が伺えます。

--- コーティング・セラミック ---

セラミックチャンバーの発展型といえます。Flowermate製のV5 NanoSlickに採用されているGlazeコーティングがこれに当たりますが、チタン・アルミ・ケイ素などを用いてガラスコーティングを施しスクラッチに対する耐久性を上げ、シャグのこびりつきを改善したチャンバーになります。

V5Nano、Slickではハイブリッド方式が採用されていることもあるのですが、Glazeコーティングによりシャグのこびりつきは大幅に改善され、通常使用でシャグがこびりつくことはほぼありません。

ガラスコーティングは研磨に弱いという弱点がありますが、Glazeコーティングが剥げるほどにヴェポライザーを使い倒したのであれば、そのヴェポライザーも本望という気がします。

--- 金(ゴールド)・チャンバー ---

Zeus Arc GTで採用された方式です。コンダクション方式ながら過去の機種には引き出せなかった特殊なフレーバーを出し、チャンバーの汚れもかなり抑えられています。

今後はセラミックチャンバーにエアパスの工夫で喫味を改善していくのだろうと予測されていたところに突如として現れた異色の機種で、コンダクションの未知の可能性を示してくれた非常にインパクトのある機種でした。

Zeus Arc GTは本家が「新しいコンダクション」と言ってますからそれに倣うように自分も皆も「Zeus Arcはコンダクション」と言ってますが、
エアパス内の温度を測定すると90度ぐらいまでは上昇するのでコンベクションの要素が部分的にはあるのかな?という気がします、些細な話ではありますが
(100%コンダクションの喫味には思えないんですよね)

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<コンダクション・吸引方式の違い>

コンダクション・・・釜で熱した蒸気を吸い上げるというシンプルな仕組み。この方式では、看過できない欠点がいくつも生まれます(この欠点が克服できていないヴェポライザーは数多く存在します)

 

--- 上部チャンバー・マウスピース直結タイプ ---

最も原始的かつ今でも比較的スタンダードなのがこの方式でしょう。Herbstick Ecoを想像してみてください。

構造上、「チャンバーとマウスピースが近い」というのがデメリットを引き起こします。

 ・粉シャグを吸い込む

  → 多くの機種はマウスピース側にフィルターを設けこの欠点を回避します

 ・ミストが熱い

  → 設定温度にもよるのですが、克服できないジレンマとなります

 ・ニコ汁がたまる、ニコ汁を吸い込む

  → 冷却部が短い(存在しない)ためにマウスピースに結露を生じ、吸い込みます

熱いミストが苦手という人は、上部チャンバータイプはよく検討された方がいいのでは?という気がします。

メリットとしてはシャグに汚損される範囲がチャンバー、マウスピースに限られるので掃除の範囲が狭くて済むことがあります。
デメリットにはエアパスが内部基板を経由しているものがほとんどで、粉シャグが内部基板に降り積もり基板やバッテリーを損壊する報告がしばしば見られます。

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以前にFlowermate Slickを分解した際の画像ですが、基板の深くまでシャグが入り込んでいるのが分かります。
海外では「健康面でこれはよくないのでは?」という議論が盛んになされていますし、エアパスと基板が完全に分離されているヴェポライザーの方が高く評価される傾向があります。

チャンバーの底にフィルターを敷いた方が良いということ、Vapeリキッド・グリセリンは使わない方がいいというのは構造的にはその通りと言えます。

 

--- 底部チャンバー・エアパス(ステム)採用タイプ ---

不勉強で、このシステムを採用した最初の機種がどれなのか?というと定かではないのですが、PAX1(2013)あるいはDavinci Ascent(2013)がその端緒ではないかと思われます。

上部チャンバー・マウスピース直結タイプで生じた欠点を克服すべく、どちらの機種も本体の底部にチャンバーを設けました。

PAX1では本体内部に基板と分離した中空の筒を設け(エアパス)、底部チャンバーで加熱したミストをマウスピースで吸い上げます。底部チャンバーのフィルターでシャグの吸入を防ぎ、エアパスによってミストが冷却されて熱さを防ぎ、ニコ汁が直接には口に入ってこないように工夫がされています。

Davinci Ascentでは本体中央にガラスパイプを挿せるようになっており、チャンバーのミストをガラスパイプで冷却して熱さを防ぎます。

いずれの方式もPAX1はPAX2、PAX3へと発展し、Davinci Ascentの概念はDavinci IQへと昇華されました。

底部チャンバー方式はMicroVaped FOBTitanvs VS7Herbva ProHerbstick RelaxDavinci MiqroCastal Vapeなどに採用されており確かにこれら機種ではあまりミストの熱さを感じません。

反面、これら機種はエアパス(あるいはガラスステム)の掃除がしにくいというデメリットもあります。

この方式を採用しているヴェポライザーの分解画像を全て見てきたわけではないので断言はできませんが、多くの機種はエアパスと基板が完全に分離されているので内部清掃をガツガツやれること、基板が汚損しにくいというメリットがあります。
ただしあくまで相対的なものであり、PAX3、Davinci IQなどの破損報告は基板に結露(ニコ汁)が侵入して生じているものが多く、問題が完全に解決できているわけではありません。

 

<方式による喫味の違い>

コンダクション・コンベクションの違いや、チャンバーの材質、上部チャンバーか底部チャンバーか、という様々な違いがありますが、
それらは喫味に影響を及ぼすのか?という点について主観交えて書いてみようと思います。

--- コンダクション・コンベクションの差 ---

本音を言うと、純粋なコンダクションよりもハイブリッドやコンベクション方式の方が全般的に喫味は良いなと感じていました。
Flowermate V5Nano、Slick、Boundless Tera V3、Solo II、AirVape XS、LINX Gaia、Fenix、XVAPE FOG、Fury2

適当に好みの機種を列挙してみましたが、いずれもハイブリッドやコンベクションの機種です。

(といっても、一番頻用しているのはコンダクションのStarryなので、やはり安っぽい喫味の方が個人的には好きと言えますがそれは別として)

 

ところが、Zeusが出てきてこの認識を改めることになります。コンダクションにもまだまだ工夫の余地があると感じさせられた機種でした。

 

喫味を求めて機種を選ぶ場合、コンダクションかコンベクションかという方式にあまりこだわらずTwitterなどで機種の評判を調べて購入する方が無難な気がします。

 

--- その他、細部構造の差 ---

上部チャンバーだとミストが熱いので底部チャンバー方式を選ぶというのは、理にかなっているように思います。事実、底部チャンバー方式のヴェポライザーでミストを熱く感じることは稀です。

しかし、上部チャンバー方式でも510ドリップチップをかませたり、バブラー用のアダプターを連結することでミストを冷却できる例があります。
粉シャグ吸引、ニコ汁問題についてもこれら工夫で対処できるケースが増えてきました。

機種ごとのミストの熱さ、舌焼けについては各所で報告がみられます、事前にある程度調べることで対処が可能かと思います。

 

上部チャンバー、底部チャンバー、チャンバーの材質による喫味の差は、「この仕組みなので喫味はこう」と一概に言えるものではなく、試してみないと分からないというのが現実です。

 

<まとめ>

・コンダクションに限定すると、現時点ではステンレスチャンバーよりはセラミックチャンバーの方がメンテナンス性も含めると優れていると思う

・上部チャンバー方式のヴェポライザーは

  ・エアパスが基板と分離されていないものが多く、可能ならばチャンバーの底にメッシュフィルターを敷いておきたい

  ・リキッドやグリセリンで損壊が早くなることが予測される

  ・チャンバーとマウスピースが距離的に近いのでミストが熱い傾向がある、510ドリップチップやバブラーなどで回避できるケースあり

 

・底部チャンバー方式のヴェポライザーは

  ・ミストは冷却され、アチチにはなりにくい

  ・メンテナンスが比較的面倒くさい機種が多い

  ・この方式を採用している人気機種は高価

 

喫味は試してみないと分からない。シャグとの相性も、試してみないと分からない。

 

「なんだよ、結局試してみないとわかんねーのかよ」って思いますよね、事前に喫味の良し悪しが分かれば73機種も買ってないですから(あはは)。

 

そんなこんなで、コンダクション方式ヴェポライザーのまとめでした。

 

記 2019/3/16